一流患者と三流患者 医者から最高の医療を引き出す心得 上野直人 著

最高の医療

がんの告知を受けて、
・戸惑っている方
・前向きになりたい方
・最良の治療方法を選択したい方

絶対に読むべき良書です。

この本は、著者自身(がんの専門医)が「がん」になって狼狽し、動揺するところから始まります。

同僚たちにメールで「がん」であることを知らせたのに、気遣いからか、誰もがんのことに触れてこない。

孤独を感じて「もう私は終わったと、思われているのでないか」という被害妄想にとらわれます。

眠れない夜を過ごし、自分の病気を受け入れられない姿も描かれているのです。

同じ気持ちで不安をかかえるがん患者の皆さんにも、ぜひお読みいただきたい書籍です。

この書籍を読んだら分かること

がんの告知を受けたら、本当は「どの病院」の「どんな医者」に診てもらい「どの治療方法」を選ぶべきか?が、今後のあなたの人生を左右する、非常に重要な選択となります。

しかし、ほとんどの医者は、すべての選択肢をバランスよく説明することはなく、自分が勧めるたったひとつの治療方法のみを説明し、患者であるあなたに決断を迫ります

複数ある治療方法の、それぞれの内容やメリット・デメリットをきちんと理解した上で、治療方法を決めたい方に本書が良いガイドとなります。

一般論ではなく、自分ががんになって初めて「切実に」「具体的に」知りたい内容、取るべき行動が具体的に書かれています。

一度読んでオシマイではなく、数年間におよぶ、がん治療期間の全体をとおして手元に置き、こころの支えとして、行動の規範として役立てたい本です。

本書の「はじめに」には、次のような文章が書かれています。

今や3人に1人はがんで亡くなる時代です。(中略)
遅かれ早かれ誰もが病院のお世話になる時がやってくるでしょう。

そのとき、どうか医者の言うことを鵜呑みにしないでください。
医者の言いなりになって後悔する治療を受けないでください。
本書の目的は、そんな「後悔する患者さんをひとりでも減らす」ことにあります。(中略)

そうです。患者さんの「差」が、受けられる治療やその後の健康に大きく関連するようになってきているのです。(中略)

さあ、医者におまかせしない、一流患者を目指していきましょう。

がん患者は、病院や医師、治療法の選択に、大きな不安や不満を抱えているのに、実際は、医者のペースでどんどん治療が進められることになりがちです。

本書は、米国で学んだがんの専門医である著者が、自分もがんになってひどく狼狽した経験や、日米の考え方の違いをも踏まえて、

  • いい医者の見つけ方
  • いい医療機関の見つけ方
  • 医者の評価の仕方
  • いい薬の見つけ方

など、私達にもわかりやすく、具体的に説明してくれています。

また目次で各項のタイトルを見れば、今すぐ読みたくなる知識やノウハウがいっぱい詰まっています。

がん治療で、後悔しないために何をどうしたら良いのか。
その方法が具体的に、実践的に書かれています。

この書籍の目次

この書籍の目次は、次のとおりです。

はじめに

最高の医療を受けるために大切なたったひとつのこと
アメリカで働く医者が日本の患者を診ると
デキる患者さん残念な患者さん

序章 がんの専門医ががんになってわかった、患者にとって本当に大切なこと

医者が、がんになったら・・・・・・
最初は誰もが、自分の病気を受け入れられない
自分ががんになって心底考えた「後悔しない患者の心得」

1章 アメリカから見える、ここが変だよ日本の医療

患者一流のアメリカ、患者三流の日本!?
「患者格差」はどこから生まれてくるのか?
医者と患者は、パートナー
日本の医者は忙しすぎて、一人ひとりに向き合う時間がない
治療方針をチームで議論するアメリカ、「おまかせ医療」の日本
日本の患者満足度が低い理由
パーフェクトな医者など、どこにもいない

<コラム医者の本音① いい医者の見つけ方

2章 一流患者のすすめ ここが変だよ日本の患者

「一流患者=お金持ち」という勘違い
本当の一流患者とは何か?
二流患者とは何か?
三流神社とは何か?モンスター患者
優秀なのに残念な患者さんとは・・・・・・

<コラム医者の本音② いい医療機関の見つけ方>

3章 一流患者になるための「心の整理術」

「がん」と言われたら「がんではないかもしれない」と疑ってみる
病気の一般名と医学的な正式名を知る
たとえ、がんになっても焦らない
病気の進行度を確認しよう
医者の言うことを鵜呑みにしない「何か他に考えられる病気はありますか?」
治る可能性があるのかを知る。治らなくても付き合い方がある
病気のメカニズムを理解する

<コラム医者の本音③ 医者の評価の仕方>

4章 一流患者になるための「情報整理術」

診察室ではメモを持参する
診察室の会話を録音する
ひとりでは病院へ行かない
医者に会うときは質問リストを持参する
医者への質問は、こまめに、何度でも
インターネットで知識武装する
待合室で病気友達をつくる
「治療した先には何があるか」を考える
家族の意見に振り回されない

<コラム医者の本音④ 最新医療情報の調べ方>

5章 一流患者になるための「治療法」

医者に言われた治療に飛びつかない
治療の「地図」を思い描く
最新治療に飛びつかない
治療のリアルを想像してみる
薬の名前(商品名)と一般名(成分名)を書いてみる
薬を飲む理由をしっかり考えて飲む
これまでの病歴は自分で記録する
自分のカルテを作ってみる
説明上手な患者になる
臨床試験のオプションを出されたら・・・・・・

<コラム医者の本音⑤ いい薬の見つけ方>

6章 一流患者になるための「試練」

それでも医者と意見が合わないときは・・・・・・
「治療はこれしかない」と言われたら・・・・・・
複数の選択肢を医者から出されたら・・・・・・
もう治療法がないと言われたら・・・・・・
どんな状況になっても、あきらめない
最悪の事態は健康なときに考える
ペイシェント・エンパワーメント患者力
後悔しない患者になる
病気になっても生き続ける

おわりに 病気に克つということ

この書籍の著者について

上野直人(うえの・なおと)氏

1964年、京都府生まれ。和歌山県立医科大学卒業。
ピッツバーグ大学附属病院にて一般内科研修後、米国内科専門医取得。
米国一のがんセンターと言われるテキサス大学MDアンダーソンがんセンターに就職し、腫瘍内科医として研究臨床に携わる。米国腫瘍内科専門医取得後、MDアンダーソンがんセンター助教授を経て、現在は同教授(永代教授)。腫瘍分子細胞学博士(Ph.D)。
専門は、乳がん、分子標的療法開発。標準的な治療方法の確立から、新しい分子標的および遺伝子治療の開発まで、がん治療の先端を担う。
がんの治療効果を最大にするために必要かつ最適とされるチーム医療の推進にも力を入れ、日本でも医療従事者と患者向けの教育活動を行なう。
著書に「最高の医療を受けるための患者学」(講談社)がある。

こんな方におすすめです!

  • 「がん」の告知を受けて、気持ちが動揺している人
  • 一人で悩みすぎて迷走している人
  • がんの治療で後悔したくない人
  • 診察をうけるときの具体的なノウハウを知りたい人
  • 医者から最高の医療を引き出したい人

カズヤスのまとめ!

前述の通り、この本は著者自身(がんの専門医)が「がん」になって狼狽し、動揺するところから始まります。

被害妄想にとらわれ、眠れない夜を過ごし、自分の病気を受け入れられない姿まで描かれています。

そこから、奥様の一言がきっかけで立ち直り、
自分が患者になってはじめて、患者さんの気持ちが心の底からわかった」と言っています。

そして自分が患者として学んだことを踏まえて、

  • 患者に大切な心がまえ
  • 診察を上手にうけるノウハウ
  • 医者から最高の医療を引き出す心得

を説明しています。


カズヤス

「がん」の告知を受けて、落ち込んでいるあなた、そして後悔しない治療法を選びたいあなたにぜひ読んでいただきたい書籍です。