陽子線センターで前立腺癌治療のセカンドオピニオンを聞く(第一印象は良好)

陽子線センターで聞くセカンドオピニオン

7月7日 陽子線センターで前立腺癌治療のセカンドオピニオンを聞いてきました。

カズヤス

陽子線センターの第一印象は、いろんな意味でとても素晴らしいものでした。

当てもなく、陽子線治療センターを見に来た日から約1ヶ月後です。
私の仕事の都合で予約まで少々時間がかかりました。

陽子線センターの第一印象

陽子線センターの第一印象はたいへん素晴らしいものでした。
特に次の2点を強く感じました。(あくまで、総合病院と比較した印象です)

陽子線センターの第一印象

  1. 待っている患者数が少ない
  2. 整然とプロセスが進む

待っている患者数が少ない

陽子線センターの待合スペースで待っている患者は、数えるほどの人数しかいません。

待合スペースにいるのは(少し悲しいけれど)「がん患者」のみで、しかも予約した上で来ているためです。

整然とプロセスが進む

陽子線センターでは「予約」→「来院手続」→「待合」→「診察」→「会計」と、プロセスが整然と進む印象を受けました。

大きな病院にありがちな「混雑」や「待ち時間」がありません。

カズヤス

理由として、陽子線センターの施設やシステムが新しいことが挙げられます。
また患者への対応方法も、癌の陽子線治療にまつわる内容に限られていることが理由でしょう。




セカンドオピニオンとは?

セカンドオピニオンとは、患者が自分で病気の治療法を選択し、納得して治療を受けるために、現在診療を受けている主治医とは別に、他の医療機関の医師から「病気の診断や治療法など」について意見を聞くことです。

カズヤス

セカンドオピニオンを聞くためには、現在の病院で行なった検査データなどを提出することが必要なため、まずはセカンドオピニオンを受けたい病院を決めて、現在の病院の主治医に申し出ることが必要です。



陽子線センターでセカンドオピニオンを聞く

陽子線治療の医師担当医であるY医師は、私が持参した「紹介状」や「検査データ」を元に次の5項目をセカンドオピニオンとして理路整然と話してくれました。

カズヤス

これは私にとって非常に分かりやすく、納得できるものでした。

順番に説明します。

私の前立腺癌に対する診断と治療方針

Y医師は、数種類の書類の中から、私の症状に合ったものを選び、その書類を見せながら説明してくれました。

私の前立腺癌に対する診断は、次のとおりです。

私の前立腺癌は・・・

  • 前立腺癌 ステージ3
  • グリソンスコア7
  • 病期・病態・・T3a N0 M0(前立腺の外まで広がっている)
  • 前立腺生検前PSA値 12.32 ng/ml
  • リスク分類・・高リスク

Y医師

カズヤスさんの前立腺癌は「中リスク」に分類されますが、陽子線治療をする際は念のため「高リスクの癌」として治療をする方が良いでしょう。

カズヤス

Y医師の説明は、大学病院のA医師のときと違って、たいへん分かりやすかったです!

前立腺癌 根治治療の説明

続いてY医師は図に沿って、前立腺癌の根治治療方法の区分と概略(メリット・デメリット含む)、陽子線治療の位置づけについて説明してくれました。

がん根治治療法の区分

カズヤス

全体がわかり、自分の治療方法の位置づけが分かると安心しました。
大学病院では、手術のことしか話してくれないため不安だったのです。

前立腺癌ホルモン療法の説明

前立腺癌の進行をおさえるため、ホルモン治療を実施します。
ホルモン治療は、陽子線治療より早く始め、陽子線治療と並行して進めます。

陽子線治療とホルモン治療
ホルモン治療の内容と期間は次のとおりです。

前立腺癌ホルモン治療の内容

ホルモン治療は「飲み薬か注射」または「飲み薬と注射」のいずれかで行います。

前立腺癌ホルモン治療の期間

・低リスクの癌・・・・・ホルモン治療なし
・中リスクの癌・・・・・陽子線照射前 6ヶ月~8ヶ月
・(超)高リスクの癌・・陽子線照射前 6ヶ月~8ヶ月を含め合て計2年

カズヤス

私の場合は「飲み薬と注射」の併用で、陽子線照射6ヶ月前から2年間行なう必要があるそうです。

陽子線治療の説明

がん根治治療法の区分

放射線治療には、上図のとおり「X線」「重粒子線」「陽子線」があります。

レントゲン撮影でご存知のようにX線は体をとおり抜けるため、とおり道にある正常組織にも当たってしまいます。

陽子線の特徴

 陽子線は病変部で止まって後方に抜けないため、病変部にしっかり当たり、周囲正常組織の不必要な線量(被爆)が少なくなります。
このため副作用が軽減できます。

治療回数と所要時間

 陽子線治療は、平日1日1回のみ照射を行います。

 3週間で合計12回(週最大4回)または4週間で合計20~21回(平日連日)となります。

 1回の照射時間は1~2分のため、治療室内にいるのは15~20分、陽子線センターの滞在は約1時間(受付、会計などを含む)だそうです。

カズヤス

仕事をしながら陽子線治療を受ける場合も、全部で1時間ですむなら助かりますよね。

前立腺癌 5年生存率(陽子線治療で期待される効果)

前立腺癌に対して陽子線治療で期待される効果は5年生存率(治療後5年間再発なく生存できる割合)で示されます。

前立腺癌 5年生存率(陽子線治療)

  • 低リスクの前立腺癌・・・99%
  • 中リスクの前立腺癌・・・99%
  • 高リスクの前立腺癌・・・94%


素晴らしい効果ですが、次のような注意もありました。

Y医師

陽子線治療から5年以降の経過で再発する可能性もあります。

より安全で効果的な治療にするための提案

前立腺癌の陽子線治療を、より安全で効果的にするために2つの提案がありました。
この2つは陽子線治療の数週間前に、1泊2日の入院により行うそうです。

1)金マーカー(目印)を前立腺につける(留置する)
2)吸収性ゲルを前立腺と直腸の間に注入する

順番に説明します。

金マーカー(目印)を前立腺につける(留置する)

前立腺の位置は、便・直腸ガス・呼吸などの影響で、1cm以上も動くそうです。

前立腺の病変部に毎回、陽子線を正確に当てるために、位置合わせの目印として金マーカーを使います。

金マーカーをつける目的は、陽子線照射の前の位置合わせを毎回、より正確に簡単に行なうためです。

カズヤス

金マーカーの材質は24金だそうです。豪華な気分です(笑)。

吸収性ゲルを前立腺の後ろ側に注入する

前立腺のすぐ後ろには直腸があって、そのすき間は1mm程度だそうです。

吸収性ゲルを前立腺と直腸の間に注入(スペーサーと言います)して、陽子線が直腸に当たるのを防ぎます。

カズヤス

吸収ゲルは、前立腺と直腸のすき間を10mm程度に広げて直腸を守り、その後は半年ほどで体内に吸収されるそうです。




前立腺癌 陽子線治療にかかる費用の説明

気になる陽子線治療の費用については、陽子線センターのパンフレットを手渡しながら、Y医師がこう言いました。

Y医師

ここに費用が書いてありますので読んでおいてください。

資料には、陽子線治療の費用について、分かりやすく書かれていたので内容については、別途、詳しく書かせていただきます。



セカンドオピニオンの費用

セカンドオピニオンは「診療」ではなく「相談」になるため、健康保険の適用にはならず、全額自己負担となるそうです。

ネットには1万円程度の金額が多くか書かれていますが、私の場合は負担額が予想より安かったため、助かりました(笑)。

カズヤス

前立腺癌の治療方法を自分で決める(「医者任せ」にしない)ために、1万円かけてもセカンドオピニオンはぜったいに聞くべきだと思いました。

支払先 今回の金額
病院に支払った費用
2,970円
薬局に支払った保険調剤費用
0円
合計
2,970円

セカンドオピニオンを受けた感想

セカンドオピニオンを聞いて良かったこと

陽子線センターでは「がんの検査」を行わないため、ほとんどの患者はセカンドオピニオンからスタートします。

つまり、他の病院で「がんの告知」を受けた人がセカンドオピニオンを聞くために陽子線センターに来るわけです。

そのせいか、医師はまず前立腺癌の各種治療方法を客観的に説明した上で、陽子線治療の特徴を説明します。

そして、私に対する治療方法の概略を説明し、より安全に治療をするための提案が続きます。

カズヤス

この説明が本当にわかりやすくて「この人なら治療を任せられそうだ」と感じました。

主治医(大学病院のA医師)の診察との違い

大学病院では、私が放射線治療を希望しているのに「全摘手術」のみを勧められて、

  • その治療方法の、何が優れているのか?
  • 他の治療方法と、どう違うのか?

を説明してくれないので、何週間も時間をムダにしていました。

カズヤス

正直「患者を馬鹿にしているのか?」と感じたこともありました。

セカンドオピニオンに対する不満は?

私にとって、たいへん有り難かったセカンドオピニオンですが、最後に少しだけ不満に感じる点がありました。

「ぜひ陽子線治療を行いたい!」と希望する私に、

  • 「陽子線治療を選択する」と、主治医に報告に行くこと
  • そして、ホルモン治療を行う病院に対する紹介状を書いてもらうこと

という2つの宿題が出たことです。

カズヤス

大学病院へは、もう行かないつもりでしたから少々ガッカリしました。しかし、念願の陽子線治療が受けられる見込みが立ったので、がんの告知を受けて以来、久しぶりに心ウキウキで帰路につきました。