陽子線治療 開始までの流れ ~固定具作成、皮膚に印書きの体験談

陽子線治療 開始までの流れ

陽子線治療 開始までの流れをご説明します。

陽子線治療の事前入院が終わったら準備も終盤、あと一息で陽子線治療です。

2年目1月17日と23日の2日間、陽子線治療のための、最後の準備をしてきました。
「固定具作成」「皮膚に印をつける」「治療計画とは?」について説明します。

カズヤス

いよいよ陽子線治療開始まであと少しです。

陽子線治療 開始までの流れ

陽子線治療の流れ

陽子線治療の流れ

陽子線治療の流れについて、陽子線センターの技師さんから説明を受けました。

陽子線治療は図のように「固定具作成」「MRI撮影」「CT撮影」「治療計画」「治療開始」と進みます。

「固定具作成」「治療計画」についてご説明します。




固定具の作成

陽子線治療は一定期間の間、短時間の照射を毎日繰り返します。
毎回、狙いどおりに陽子線を照射するためには毎回、治療台の上で同じ姿勢になることが必要です。

そのため「固定具の作成」「皮膚に印を書く」を行ないます。

固定具の作成

固定具は次の2種類を患者に合わせて作成します。

1)シェル・・・腰から太ももを治療台に固定するもの
2)吸引式固定パック・・太ももからつま先まを支えて固定するもの

シェルの作成

シェルは温めると柔らかくなるプラスチックの板で、患者に合わせて作ります。

まず、治療台の上に正しい姿勢で横になり、温めて柔らかくなったプラスチックの板(腰から太ももまでのサイズ)を体の上に乗せ、その端を治療台の左右にあるフックに引っ掛けます。

カズヤス

この段階で、体は左右に動けなくなります。もちろん強引に動いてはいけませんよ。(笑)

脚の間にくぼみができるよう、重しを乗せて数分間、じっとして待てば完成です。

カズヤス

陽子線治療は最先端の治療法ですが、固定具の作り方は「原始的(?)」な方法でした(笑)。
でも、この方法が体に一番フィットしますよね!

呼吸をすると、お腹がふくれて固定具にあたるため、最初は我慢していました。
しかし、技師の方から「息をしていいですよ」と言われたので安心しました。

カズヤス

考えてみれば「呼吸ができる」固定具でないと、治療中に苦しいですよね(笑)

吸引式固定パックの作成

治療台の上に横になり、シェルの作成と同時に「吸引式固定パック」も作ります。
太ももの後から、かかとの位置で直角に曲がり、つま先まであてがいます。

吸引式固定パックとは、空気を抜くとその形になる、例えば「布団圧縮袋」のようなものです。

これで陽子線治療の際に、左右の脚も毎回同じ位置になります。

カズヤス

つま先を左右に開いて、楽な姿勢で作ることがおすすめです。



皮膚に印をつける

お腹に印をつける

お腹にマジックで印をつける

治療台の上に正しい姿勢で横になり、治療台から出ている3本の光(レーザーポインターの光ようなもの)に合わせて、体に3ヶ所の印を書きます。

油性マジックのようなマーカーでおヘソと左右の脇腹に、技師さんが「+」の印を書いてくれます。
ちょっと原始的でビックリしましたが、これも毎回同じ位置・姿勢で治療を受けるための工夫ですね。

カズヤス

この印、当然ですがお風呂でゴシゴシ擦ったり、衣服に擦れて線が薄くなってしまいます。陽子線治療が始まるまでの間、線が薄くなったり消えていないかを定期的に確認して自分で書き足さねばなりません




治療計画とは何か?

陽子線治療の流れ
治療計画とは、医師や技師たち医療スタッフが行なう準備作業です。

当日に撮影したMRI画像、翌週に撮影するCT画像など今までの検査結果や患者のデータを元に、陽子線照射の計画を立ててくれるのです。

前立腺に充分な量の陽子線を当てるための方法、直腸や膀胱など周囲の臓器に当てすぎない方法をコンピュータで計算して検討します。

治療計画には1週間から10日かかるため、固定具作成から陽子線治療開始までは2週間の期間が必要です。



カズヤスのまとめ

前立腺癌の陽子線治療を受けるには、

など、外科的、物理的、原始的(?)なものを含めて、前準備が必要です。

カズヤス

最初は、面倒な準備をなぜこんなにたくさんやるのだろう?と感じました。
しかし、実際に陽子線照射が始まると、前準備のひとつひとつの作業が安心につながることを実感します。

陽子線の照射まで、もう少しです。